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2013'12.25.Wed

地下街の雨 感想 【宮部みゆき短編集】

地下街の雨 (集英社文庫)地下街の雨 (集英社文庫)
(1998/10/20)
宮部 みゆき

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・地下街の雨 (※ネタバレ注意)
 婚約者に裏切られ傷ついた麻子。喫茶店でアルバイトをしていると客としてくたびれた女が来る。彼女をどこか自分と似ていると感じ、共感し、心配していた彼女だが元同僚の敦史と偶然再会するとくたびれた女、曜子は「男がいたのね?」と一変する。敦史に無理やり言い寄り、知れば知るほど危ない女である曜子から敦史を救おうと麻子は一歩前に踏み出す。この曜子、実は演技で変な女を演じていたのだ。敦史のためキューピッド役を買って出ていた。
 印象深い言葉やシーンは――

「ずっと地下街にいると、雨が降り出しても、ずっと降っていても、全然気がつかないでしょ? それが、ある時、なんの気なしに隣の人を見てみると、濡れた傘を持っている。ああ、雨なんだなって、その時初めてわかるの。それまでは、地上はいいお天気に決まっているって、思い込んでいる。あたしの頭の上に雨が降っているわけがない、なんてね」
 おめでたいわね、と、彼女は言った。
「裏切られた時の気分と、よく似ているわ」


 このシーンがそのままタイトルになっている。確かに裏切られたと思う時と酷く似ている、非常にうまい表現だ。最後は含みを持たせるような終わり方をするが、社長、曜子、敦史のネクタイや状況から彼女の演技は演技だったのだろう。このやり取りを読めただけでもこの本を読んだ価値が有ると思う。

他の短編はまた後日……
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