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2013'12.28.Sat

地下街の雨 感想 【宮部みゆき短編集】

地下街の雨 (集英社文庫)地下街の雨 (集英社文庫)
(1998/10/20)
宮部 みゆき

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・不文律 (※ネタバレ注意)
 一家4人車ごと海中へ 無理心中の疑い。そんな見出しから始まる。一家の話が近隣住人や会社抱えの精神科医、祖母、奥さんの友人、旦那さんの旧友、同僚、愛人などから語られる。その中で夫婦二人の性格や問題が浮き彫りになる。そこに誘拐ごっこという遊びがからんで――脅迫状が自分宛てのものと勘違いした旦那、満男は無理心中を図った。嫁の静子は約束事等を文章化する人間であったため起こった勘違いだった。引き金になったのは――

『片瀬にはわたしと子どもたちを養う責任があるんだから、ほかに女ができただの、その女の方を愛してるだの、いまさら言われたって困るのよ。そんな理屈にあわない無責任なこと、あたしは絶対許さないから』
(すこし飛ばして)
『おまえがそんなふうに、俺にはおまえたちを養う義務がある、家庭を守る義務があると言い張るのを聞いていると、俺は囚人になったような気がする。俺の人生を抵当にとられたような気がする』

――この部分だろうと刑事が巡らした推理がそのままタイトルとなっている。彼らは口に出してしまったが、夫婦間の不文律だ。
 個人的にちょっと悩んだのが一家心中を満男が選んだのはただ単に追い詰められたから(突発的に人生から逃亡することを選んだのか)、それとも家族自体も彼にとって財産だったから一家ごと心中したのか。後者であれば、非常に切ない話である。
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